ダブルバインドとは「意識は一つのものにしか集中できない」という原理を元にした手法です。
「相手に受け入れさせたい内容」を、直接的に相手に伝えるのではなく、その内容は既に前提として会話に織り込みます。そうして「受け入れさせたい内容」と違う部分にポイントを当てて、「受け入れさせたい内容」を相手にスムーズに受け入れさせます。
例えば既に仕事をたくさん抱えている部下にもう少し仕事を振ろうとする場面を想像してください。
おそらく普通に頼んだら嫌がられそうな状況です。
「この資料のまとめしてもらえないかな」なんていう言い方では、
「私の仕事も締切りが近いんで難しいです。」と言われてしまうかもしれません。
こういう場合に、『資料をまとめる』ということを前提として入れるために
「資料のまとめなんだけどね、明後日までにお願いできないかな。」
という形で、『明後日』に焦点を当てることで相手に『資料をまとめる』という
ことを前提として同意させます。
さらに念を押す形で
「資料のまとめなんだけど、明後日までにパワーポイントで2枚でまとめてもらえる?」
とすると、
「明後日」に加えて「パワーポイントで2枚」という部分に焦点があたり、
より『資料をまとめる』という部分は前提として受け入れられます。
上記以外の事例としてよく出されるものとしては
女性をデートに誘うときの事例があります。
普通に「こんど飲みに行こうよ。」と誘うと、乗り気でない場合、
「ごめん、ちょっと最近忙しくて・・・」とさくっとNOと言われるかもしれません。
ここで
「こんど食事にしようか、それとも映画にする。」
「でも最近忙しくて・・・」
ここにはデートに行くということが既に前提として入っています。相手の
意識は行くか行かないかではなく、食事か映画かに意識が行きます。
「じゃあ、お茶ならどう」
この言葉で相手はまぁお茶ぐらいならいいかなと考えて、
「少しくらいなら」
という風に持っていける可能性が高くなります。